盲目
恋に恋焦がれ、己を見失っている。
倫理観の欠如、とも言えるかもしれない。
刹那主義故に一時の感情で登り詰め煮詰まったその温度は冷めずに熱暴走を起こし、視界を曇らせている。
そんな些細なきっかけで揺れ動くなんとも脆く安直な人間だと思われても仕方ない、これが事実なのだから。
二番目でいいから傷ついてもいいからそばにいたい、そんなのはエゴで酷い自己満足だ。本当は誰もが一番目がよくて傷つきたくないに決まっている。叶いっこない恋や儚い恋をした時、そんな破滅的で堕落し切った退廃的な考えに落ち着いてしまう。
だからといって何か行動を起こそうとも分水嶺もわからないほどに茫漠とした時間と杳杳たる距離が目の前で胡座をかいていた。
そしたらお得意のぬるま湯に浸かるような、臆病と傲慢と自傷に満ちた妥協をするしか今の私の手持ちには選択肢がなかった。
思えばいつもこうだ。どうしようもなくなって、それでも諦められなくて選ぶ。
こんな思考停止な考えじゃ死んでいるも同然だ。
キープでいい、スペアでいい、補欠でいい。どうにかして見出した一縷の望みと兆しを縋るように掴もうとする。しかしそんなのは自己満足にしか過ぎなく、いざ相手のことを考えればそれは酷く短絡的で軽率で極めて思いやりに欠ける。
普遍的な基準に合わせて考えれば異常な思考というのは自明の理だがどうしようもなくそこに辿り着いた時、そこに利他はなく利己ばかりが蔓延っていた。
本当にコレでいいのか、他に何か道があるんじゃないかと自問自答をしようが結局は堂々巡り。今の私にはこれしかないのだ。
なんとも歪んだ醜い恋愛観だろうか。
あとちょっと、数センチのところで届かない。されどそんな状況に何処か安堵している。
だから私はどうしようもなく愚かでそれでいて情けない、それが私なのだ。