忘れ物
過ぎた後に気づく、気づかされる。「あの頃好きでした」「実は好きでした」「今もっと近くにいたら付き合いたかった」なんていう様々な遺産。
方便やお世辞なのかは定かじゃないがそう言われることばかりが続いている。
過去に囚われてばかりいてはどうしようもないが、そんなことを言われてしまえば当時の選択や時間を思い返しては悔やむ。
人は変わる。その頃好きだったなら今もまだ一縷の望みがあるんじゃないか、なんて愚かなこと考えるのは浅ましいこと極まりない。
それでも後悔は消えず心の隅や脳裏上にぐしゃぐしゃに丸めた紙切れのようになって落ちている。燃やしても不完全燃焼のままだ。
どこかで何かで精算する時、それはきっと何かの拍子にあの頃わたしもそうだったよと伝えること以外他にないのだろう。その時が1番モヤモヤしてむせ返るような黒煙の中にいる気分になるのだろうけれど。
後悔先に立たずとはこのことだ。
私は過去の思いばかりに縛りつけられて先に進めない、思い出の鎖を繋いで歩み出そうとしていない。
自分の情けなさに辟易する。
もう戻れないどうしようもない事にいつまでも囚われている。
俯いたり、後ろを振り向いてばかりだ。